EVA

(読み方 : イーブイエー)

EVAとはEconomic Value Addedの略。 企業評価のための指標で日本語では、「経済的付加価値」と呼ばれる。 投下資本に対してどれくらいのリターンを生み出したのかという経済的価値を把握するための指標である。 米国のコンサルティング会社であるスターンスチュワート社が商標登録を行っている指標である。計算式は以下の通りである。 EVA=支払利息控除前税引後利益-投下資本×加重平均資本コスト率 EVAの値がプラスの場合、株主の期待する以上の価値を創造したことを意味し、マイナスの場合は、期待通りの利益が獲得されず、株主価値を破壊していることを意味する。

EVAメリット

EVAには、いくつかのメリットがある。以下にて説明する。

予測精度が高い

EVAを計算する際には、評価時点の簿価を用いる。 そのため、EVAでの企業評価は、キャッシュフローベースでの企業評価モデルよりも予測に対しての誤差が小さいと言われている。

資本コストの視覚化が可能

通常、企業が重要視している指標である、ROAやROEの場合、一般的に当期純利益を用いて算出行うことが多い。 EVAとは異なり、資本コストを考慮しないため、資本コストの視覚化を行うことはできない。 その一方EVAを用いると、資本コストをその算出時に求めることになるため、視覚化をすることができる。 資本コストを視覚化することができると、EVAを高めるために、資本コストを下げるための活動を行うことができ、「IR活動を通した株主への経営の透明性のアピール」や「自己株式の取得」などの活動に明確な根拠をもって取り組みことができる。

適切な経営判断が可能

ROAやROEを用いた業績評価の手法において黒字を出している場合には、良い傾向だと判断されることが多い。 ただし、それらの手法では資産コストがどれだけ投入されているのかは判断できない。 EVAを用いた評価を行うことで、資本コストを加味した業績を評価することができ、より適切な経営判断を行うことが可能になる。 実際、近年では多くの日本企業においてもEVAを用いた経営判断の手法が取り入れられ始めており、3年以上EVAがマイナスである場合には、その事業から撤退するといった基準を設ける企業も出てきている。

EVAのデメリット

EVAにはメリットもあるが、いくつかデメリットも存在する。以下にて説明する。

計算が複雑

EVAを計算するためには、資本コストの計算が必要であり、計算が複雑である。 また、より精度の高い算出を行う際には、「調整」という、各社の状況に応じた財務会計数値の修正が必要であるため、よりその算出が複雑になる。 計算が複雑であるために、社内で扱う指標として採用することが難しく、もし採用を行った場合についても、営業側での計算が難しいことから、考え方が浸透しづらいという結果を招く恐れがある。

短期的な業績しか評価できない

EVAは、短期的な業績を評価する指標であるため、企業の中長期的な業績の評価を行うことができない。 EVAの値のみに拘りすぎ、長期的な投資が阻害されてしまうことによる業績の悪化に陥る事例もある。

実績値がマイナスになりやすい

EVA は利益指標で黒字を確保していてもマイナスとなることがある。 また、新規事業への大きな投資を行った場合など、企業の成長に資する活動を行うことによってEVAがマイナスになることもある。

実行プロセスを評価できない

EVAは結果を表すための指標であるために、企業評価を高めるための実行のプロセスを評価することができない。 EVAの向上に繋がる活動を意識することの難しさが存在する。

EVAを高める方法

EVAを高めるためにはどういう方法があるか以下にて説明する。

NOPATを上げる

NOPATとは、税引後の営業利益を指す。 NOPATを高めるためには、本業での収益性を高めることが重要である。 本業である既存事業を改善させるためには、利益率を維持したまま売上を増加させることや、売上を維持したまま利益率を向上させることなどにより実現を目指すことが必要である。

WACCを下げる

WACCとは、加重平均資本コストのことであり、借入と株式による資本の2つの資金調達のコストを加重平均したものを指す。 負債が多い場合には、できるだけ負債を減らすことが必要である。 しかしながら、負債を減らすことは、株主資本の割合が高まることとなるため、WACC全体を考えると、上昇する可能性がある。 逆に株主資本の割合を減らすことによって負債の割合を高めるという手段もあるが、その場合、負債比率の増加によって財務状況が悪化するために支払利息が高まるという状態になる。 以上より、WACCを下げるということは、一般的には非常に難しいと考えられている。

資本を減らす

資本自体が減少すれば、WACCが下げられなくても金額で見た資本コストは減少する。 資本自体を減らすためには、例えば遊休資産がないかどうかを見直す、あるいは収益性の低い事業から撤退し、その事業に費やしている資産をなくすなどが考えられる。

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