IPO

(読み方 : アイピーオー)

IPOとは、Initial Public Offeringの略称のこと。Initial(=最初の)、Public(=公開)、Offering(=売出し)という意味で、日本語では、「新規公開株」や「新規上場株式」と訳される。 未上場企業が、初めて株式を投資家に売り出して、株式を証券取引所に上場させることにより、誰でも株式の取引ができるようにすることをいう。

上場企業数とIPO企業数

日本の上場企業は、2022年4月時点で3,825社存在する。400万社近い日本の企業数から見ると、その割合は0.1%にも満たない。 2021年の国内証券取引所におけるIPO企業数は、125社であった。

証券取引所の種類

証券取引所へ上場するためには、証券取引所の上場審査を受ける必要がある。 日本には、東京証券取引所(東証)、名古屋証券取引所(名証)、福岡証券取引所(福証)、札幌証券取引所(札証)がある。

東証の市場区分

2022年4月4日より、東証は既存の「一部」、「二部」、「ジャスダック」、「マザーズ」の4市場から、世界経済をリードする企業向けの「プライム」、国内経済の中核を担う企業向けの「スタンダード」、高い成長性を持つ新興企業向けの「グロース」の3市場に再編された。

上場審査

IPOによる上場までには、主幹事証券会社による引受審査と、証券取引所による上場審査がある。

①引受審査

主幹事証券会社が、日本証券業協会が定める「有価証券の引き受け等に関する規則」に基づき、有価証券の引受けの可否を判断する審査である。 会社内部の資料や監査法人が企業の現状をレビューした報告書などをもとにディスカッションを重ね、その企業の社内体制をチェックする。 主幹事証券会社は、会社の株式を取得して販売し、売れ残りは自ら買い取るなどの引受責任を負う。

②上場審査

証券取引所が、上場審査基準に基づき、上場適格性を審査するものである。 上場審査基準には、形式基準と実質審査基準がある。 形式基準は、上場する株式数や株主数、利益の額といった数値などで形式的に定められた基準である。 実質審査基準は、申請会社が安定的・継続的に収益性を維持し、適切な管理体制を構築し、将来を見通した経営が適切に行われているかなどについて、書類審査だけではなくヒアリングや実地調査などで確認されるものである。

IPOの企業側のメリット

①資金調達力の向上

未上場企業は、限られた投資家からしか資金調達ができないが、上場して取引所で株式が流通するようになれば、広く一般の投資家からより多くの資金を集めることができる。株式による資金調達は利息や返済がなく、事業投資などに向けた有効な資金調達方法である。

②知名度の向上

上場して取引所で株式が流通することで、会社自体の知名度向上に繋がる。知名度の向上により、副次的に業績の向上や、優秀な人材確保に繋がる効果が期待できる。

③社会的信用の向上

証券取引所に上場するためには、厳しい上場審査をクリアする必要がある。 審査基準には企業の財務状態の水準や内部管理体制が含まれており、上場によりこれらを全てクリアしたという実績がつく。 また、上場企業は財務状況等を公開することになり、それだけ顧客や取引先からも社会的信用を得られやすくなる。

IPOの企業側のデメリット(責任)

①上場までのコスト

IPOにより上場を果たすまでには、社内体制の見直しやシステム導入などのために多額の金銭的コストがかかる。また、審査の準備期間として監査法人や主幹事証券会社の選定などを含め、多くの時間的コストがかかる。

②会社情報の開示義務

上場企業は、市場に参加する株主に向けて開示すべきものと規定されている会社情報を開示し、IRを適切に実施していく必要がある。未上場企業と比べ、より株主に対する説明責任が重いことを意味する。

③買収リスク

上場企業の株式は、取引所で自由に売買されることを意味するため、敵対的な買収によって会社の経営権を奪われるリスクが存在する。

IPOの投資家側のメリット

①成長企業への投資

これまで日本になかったサービスを提供するなど、会社自体が魅力的で成長性が見込まれる企業の株式を上場段階で購入できる。

②上場後の株価上昇

抽選に外れ購入できなかった投資家の存在や、インターネットの口コミが広まったことによる注目度の向上が後押しして、新規上場日に買い注文が集まる事がある。 そのため、人気のある銘柄は公開価格を大きく上回って初値が付くことがあり、上場後の株価上昇を期待できる。

③取引手数料無料

新規上場株式(IPO)のブックビルディングに当選し、購入意思表示をすると、通常の株式買付時の手数料がかからないため、公募価格に購入株数をかけた額の資金だけで株式を購入できる。

IPOの投資家側のデメリット

①当選確率の低さ

人気銘柄の場合、当選すれば利益を出せる確率が高いが、IPOの抽選に申し込んでも当選確率が低いため、そもそも株式を購入できない可能性がある。

②株価下落の可能性

IPOは利益が出る可能性が他よりも高いが、買えば必ず利益が出るとは限らない。 抽選に当たって購入しても、初値が公募価格を下回った場合、初値売りをすると損失を被る可能性がある。

③資金の拘束

IPOの抽選申込後、証券会社によっては、抽選が終了するまで資金を引き出せない場合がある。 申込後に資金を拘束されると、他に購入したい銘柄があっても資金を充てることができず、投資資金の回転効率が悪くなり、他銘柄への投資機会を逃す可能性がある。

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