SOX法

(読み方 : ソックスホウ)

SOX法とは、エンロン事件をはじめとする企業会計不祥事を規制するため、2002年7月にアメリカ政府が制定した法律のことをいう。

SOX法制定の経緯

SOX法は、アメリカで発生したエンロン事件やワールドコム事件で問題になった企業の不正会計を規制するために、アメリカ政府が制定した企業改革法である。 SOX法の名称の由来は、法案を提出したアメリカの上院議員ポール・サーベンス(Paul Sarbanes)と、下院議員マイケル・G・オクスリー(Michael G.Oxley)の名前を取った「Sarbanes-Oxley Act」(サーベインス・オクスレー法)の略称である。 正式な名称は、「Public Company Accounting Reform and Investor Protection Act of 2002:上場企業会計改革および投資家保護法」という。

エンロン事件とは

エンロン事件とは、2000年度に売上高1,110億ドル、全米第7位の世界最大手のエネルギー販売会社であったエンロン社が起こした一連の不正会計事件のことをいう。 エンロンは、相次ぐ海外の大規模事業の失敗などで実際には経営状況が悪化しているにも関わらず、CFO(最高財務責任者)の指示で、SPC(特定目的会社)を利用し、巨額の粉飾決算を行なっていた。 2001年10月に不正会計疑惑が明るみに出ると、同年12月に総額160億ドルを超える巨額の負債を抱えて倒産するに至った。

ワールドコム事件とは

ワールドコム事件とは、2002年当時に全米第2位の長距離通信会社だったワールドコムが、不正会計処理に端を発して倒産に至った事件である。 ワールドコムは、90年代後半のITバブルの崩壊やスプリント・ネクステ(携帯電話事業者)との合併取り消しなどによって悪化した経営状態で粉飾決算を行なっていた。 その手法は、本来はその期の営業経費として計上すべき他の通信事業者に対して支払った回線使用料を資本勘定に振り替えて、財務諸表上は利益が出ているように見せるものであった。 手法としては単純なものであったが、監査法人はその不正を見逃していた。 そして、2002年7月に負債総額約410億ドルで、当時のアメリカ史上最大の負債を抱えて倒産するに至った。

SOX法の主な役割

SOX法は、企業に財務情報の透明性と正確性の確保を厳しく求め、会計処理上の不正や誤謬を防ぐ「内部統制」を整備することを経営者に要求している。 SOX法は、経理システムと頻繁にデータを交信する販売管理システムや購買システムの処理が適正かを検証し、IT部門のシステム開発や保守が公正かを確認する重要な役割を担っている。

内部統制とは

内部統制とは、企業が適切な経営や事業推進を行えるように、ルールや仕組みを整備して、適切に運用することをいう。 業務の有効性及び効率性、財務報告の信用性、事業活動等に関わる法令等の遵守、資産の保全、の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ組織内の全ての者によって遂行されるプロセスである。 そのプロセスは、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。

J-SOX法

概要

J-SOX法は、アメリカで作られたSOX法を例にして、2006年6月に金融商品取引法が成立した際に規定された日本(Japan)のSOX法である。 J-SOX法の正式名称は「内部統制報告制度」と言われている。

目的

財務報告において企業に内部統制を求め、不正会計を防止することを目的としている。 この点はアメリカのSOX法と同様である。

対象会社

J-SOXはすべての上場企業が対象となる。 本社・本店だけでなく、子会社、関連会社、在外子会社、外部委託先も対象となる。

内部統制報告書

対象会社は、財務計算書を適切に作成していること及び財務計算に不正がないかチェックしていることを証明するため、内部統制報告書を作成・提出する必要がある。

日本のJ-SOX法と米国のSOX法との違い

概要

日本のJ-SOX法は、米国SOX法を手本としながらも、過大なコスト負担を軽減するなど米国SOX法を改善した日本独自のものとなっている。

J-SOX法の主な特徴

重大な虚偽記載につながるリスクに着目して、必要な範囲で内部統制を整備・評価するトップダウン型のリスク・アプローチを採用している。 また、内部統制の不備を、「重要な欠陥」と「不備」の2つとし、内部統制の不備の区分を簡素化している。

J-SOX法の負担軽減策

米国SOX法は、経営者が自ら行う評価と公認会計士などの監査人が行う評価について、二重の評価が求められる。 それに対して、日本版SOX法は公認会計士等などの監査人は、経営者が評価した結果が適正かどうかの監査のみの評価をすることで、二重評価・監査を回避している。 また、フローチャート・業務記述書などの作成は必ずしも求められず、普段企業で作成・使用している記録などを利用したり、また、必要に応じて補足を行うことで代替可能となっている。

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