オフバランス

(読み方 : オフバランス)

オフバランスとは企業の事業活動上、必要な資産・負債でありながら、貸借対照表に記載されていないことを指す。 企業価値を良く見せるために、貸借対照表から見栄えの悪い勘定項目を消すことである。

オフバランスはなぜ起こるのか

企業が金融機関から融資を受ける際、財務内容が良いほうが融資がおりやすく、金利も優遇されるケースが多い。 また法人税法上、非上場企業では現金の移動が発生した際に計上をすることとなっており、退職金引当金や保証債務など、現金の移動が発生していない債務や支払については、貸借対照表に載せる必要がない。 そのため企業は法人税法上問題のない範囲でオフバランスを行い、財務内容の見栄えをよくする事例が発生している。

M&Aとオフバランス

M&Aにおいてオフバランスは重要な要素となる。譲受企業は譲渡企業のオフバランス事項(特に簿外債務や偶発債務)を認識せずにM&Aを実行すると、のちにトラブルに発展する。 譲受企業が留意すべきオフバランス事項を以下に記載する。 ・退職給付引当金 ・各種保証債務 ・割引手形、裏書手形 ・訴訟、クレーム ・ポイント引当金 ・リコール ・土壌汚染等 またオフバランス事項を明確にしM&Aを進めるためには、専門家に調査を依頼(デューデリジェンス)する必要がある。

M&Aにおける簿外債務の影響

譲受企業が支払う金額的に影響の大きい簿外債務は退職金関係である。 具体的には従業員に将来支払う「退職給付引当金」と、役員に将来支払う「役員退職慰労引当金」がある。 一人あたりの支給額が大きいことが想定され、譲受企業が全く知らずに買収をすると大きな損失になる可能性がある。

M&Aにおける偶発債務の影響

譲受企業が支払う金額的に影響の大きい偶発債務は訴訟関係や保証関係である。 例えば譲渡企業が訴訟を抱え、多額の損害賠償を支払う予定がある場合、支払責任は譲受企業にわたる。 また債務保証先の企業が倒産した場合、返済義務は譲受企業にわたる。譲受企業が全く知らずに買収をすると大きな損失になる可能性がある。

オフバランスを活用する方法

融資や金利条件等の優遇策として、負債のオフバランス化はよく活用されている。 一方、資産のオフバランス化の活用術は「当たり前なこと」ではあるものの、意外とあまり使われていない。 以下にいくつか活用術を記載する。

保険の解約返戻金

オーナーに万が一の事態が発生した際に備える、事業保険に加入している事業者は多い。 また損金算入を目的とし加入しているケースも多いだろう。この保険の解約返戻金はオフバランス事項に該当する。 例えば銀行員との面談でオフバランス事項である解約返戻金の話をし、解約返戻金の用途(3年後に事業保険を解約し解約返戻金を使い設備投資を行う)を伝えれば、銀行側も現金資産と判断し経営戦略の面で評価の対象となりうる。

償却済の資産

償却済の資産は決算書上では価値のない資産とみなされる。 例えば大型乗用車(トラック、バスなど)の減価償却は5年である。10百万円で購入しても償却期間が過ぎれば決算書上の価値は1円となる。運送会社が償却済トラックを9台、10百万円のトラック1台の計10台を保有し、会社経営をしていた場合、資産に対して利益率は大きくなる。 融資の際に貸借対照表の資産を重視するケースもあるが、償却資産を開示することで銀行側の評価が変わる可能性がある。

受注残

会計期間に受注が完了していない受注残は是非活用していただきたいオフバランス事項である。 例えば利益10百万円の3月決算企業が、4月に利益20百万円の受注残があるとする。その場合4月に大きな受注があるものの、決算期をまたぐため実績に反映されない。受注残があること、受注残をしっかり管理していることを銀行側へ開示することで評価が変わる可能性がある。

ヒト、特許、ブランド

ヒトや特許、ブランドについては金額に転換させることができないのでオフバランス事項に該当する。 例えば特許については研究開発費の勘定項目となるため資産ではなくコストとしてみなされる。(M&Aにより取得した特許については資産計上となるが。) 企業にとってヒトや特許、ブランドはアピールしやすいポイントであるので訴求することが重要である。

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