定款
(読み方 : テイカン)
定款とは、会社の組織と運営に関する基本原則を定めたものであり、会社設立時に作成が義務付けられているものである。 会社法では定款自治を認めており、定款に記載することで会社組織や内部関係を定めることができる。 会社の内容を知るためには定款の内容を確認することが重要である。
定款の作成義務
会社を設立する際、事前準備として定款の作成が必要である。 定款は、登記申請の際、必要な書類と共に法務局に提出するものである。
定款の種類
原始定款
会社の設立時に作成する定款を原始定款という。 株式会社の設立時に作成する原始定款は、公証人による認証を受ける必要があり、認証後に効力が生じる。 原始定款自体は書き換えられず、本店所在地の都道府県にある公証役場で20年間保管される。
現行定款
現時点で有効な内容の定款を現行定款という。 定款変更をしていない場合は、原始定款が現行定款になる。 定款変更の手続きでは、原始定款そのものを書き換えられないが、変更箇所を反映した定款を新たに作成することができる。 定款変更については、公証人の認証は不要である。
定款の記載事項
定款には、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項が記載される。
絶対的記載事項(会社法第27条)
定款に必ず記載しなければならない絶対的記載事項は下記の項目である。 絶対的記載事項の記載が定款に含まれていなければ、定款自体が無効になる。
①目的
目的には、会社の事業内容を記載する。 複数ある場合は全て箇条書きで列挙する。 定款に記載された事業目的以外の事業を行っても罰則はないが、取引先や金融機関から見た場合に、会社の信用にマイナスの影響があるため、注意が必要である。 事業内容を記載した最後に、「上記各号に附帯関連する一切の事業」と書いておくと、事業拡大の際に定款変更の手間が省ける。 目的は、下記の点に注意して記載する。
明確性
目的は、誰が見ても記載内容からその会社の事業内容を理解できるように記載する必要がある。
営利性
目的は、利益を得る可能性のある事業を内容とする必要がある。
適法性
目的は、法令または公序良俗に反しない内容とする必要がある。 また、資格者のみが行える事業については、資格者以外の者が目的にすることはできない。 許認可が必要な宅建業などを営む場合は、定款に該当する事業が記載されていないと許認可を受けられない。
②商号
定款には、会社名となる商号を記載する必要がある。 商号は、下記の点に注意して記載する。
同一本店同一商号の禁止
同じ住所で既に登記されている会社と同一の場所で会社を作ろうとする場合、同じ商号を用いることはできない。
文字制限
商号に使用できる文字・符号は下記のものである。
- ひらがな
- 漢字
- カタカナ
- ローマ字(大文字・小文字とも)
- アラビヤ数字
- 「&」(アンパサンド)
- 「’」(アポストロフィー)
- 「,」(コンマ)
- 「‐ 」(ハイフン)
- 「.」(ピリオド)
- 「・」(中点)
③本店所在地
定款には、本店を構える住所全て(市町村以降の番地まで)か、最少行政区画(市区町村、特別区)までの表記を記載する必要がある。 (最少行政区画までの例)東京都渋谷区
④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
定款には、会社を設立する上で出資した金額(会社設立後の資本金に相当)を記載する必要がある。 設立時に出資される財産の額については、必ずしも確定した額でなくてもよく、「その最低額」を決定すればよいことになっている。
⑤発起人の氏名又は名称及び住所
定款には、全ての発起人の氏名と住所を記載する必要がある。 発起人は、自然人(人間) に限らず、法人(会社など)でも可能である。
相対的記載事項(会社法第28条等)
定款に定めがないとその事項の効力が認められない相対的記載事項の例は、下記の変態設立事項(場合によっては、裁判所選任の検査役による財産価値の評価を受ける必要がある)の他、株式譲渡制限、種類株式発行の定め、会社の機関に関する事項などである。 相対的記載事項は、全記載がなくとも定款全体が無効になることはない。
現物出資
現物出資が認められるには、金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額、現物出資する者に対して割り当てる設立時発行株式の数を記載する必要がある。
財産引渡
財産引渡が認められるには、会社成立後に譲り受けることを約束した財産(目的財産)、譲り受けた財産の価額、譲渡人の氏名または名称を記載する必要がある。
発起人の報酬
発起人の報酬が認められるには、会社成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益、その発起人の氏名又は名称を記載する必要がある。
設立費用
設立費が認められるには、会社に負担する設立に関する費用を記載する必要がある。
任意的記載事項
任意的記載事項は、定款に記載が含まれていなくとも定款自体が無効になることもなく、その事項の効力が否定されるものでもない。 任意的記載事項の例は、下記の項目である。
取締役の員数
取締役等の員数は、会社法の規定に反しない限り自由に定めることができる。
基準日
基準日は、議決権の行使または配当を受けるべき者等株主としての権利を行使すべき者を定めるための一定の日のことをいう。 基準日において株主名簿に記載または記録されている株主が、議決権や配当などの株主の権利を行使することができる。
事業年度
事業年度は1年以内の期間で自由に定めることができる。 事業年度は、株主総会の承認を受けるため、その事業年度における計算書類等を作成する必要がある。
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