コントロールプレミアム
(読み方 : コントロールプレミアム)
コントロールプレミアムとは、会社の株式を取得するにあたって、会社の支配権をも確保できる場合に、その支配権に着目して買収価格に上乗せして支払う付加価値をいう。支配権プレミアムとも呼ばれる。
コントロールプレミアムの特徴
会社の支配権を持つ株主は、取締役の選解任や事業運営方針や配当政策等の決定に大きな影響を与えることが可能である。 少数株主と比べて、会社の支配権によるキャッシュフローのコントロールなどにより、投資の目的を達成することができる。 そのため、株式市場における少数株主同士の株式売買価格よりも、付加価値を上乗せした評価をすることがある。
会社の支配権について
会社法295条1項で、「株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。」と定められている。 会社の最高意思決定機関は株主総会であり、特定の株主が決議に必要な議決権の割合以上の株式を保有していると、実質的に会社の重要事項の決定をすることができる。会社の支配権においては、議決権の割合が重要である。
株主総会で議決権のある株式の1/2超(過半数)を有している場合
一般的に、議決権のある株式の過半数を有していれば、会社の支配権ないし経営権を有しているといわれている。 例えば、下記の決議などが可能となる。 ・取締役/監査役の選任 ・役員の報酬などの決定 ・剰余金の配当 ・準備金の減少 ・剰余金についてのその他の処分(利益準備金、繰越利益剰余金、別途積立金)
株主総会で議決権のある株式の2/3以上を有している場合
さらに、議決権のある株式の2/3以上を有していれば、会社の実質的な支配権を有しているといわれている。 例えば、下記の決議などが可能となる。 ・定款の変更 ・合併/会社分割/株式交換/株式移転の承認 ・合意による特定の株主からの自己株式の取得 ・株式の併合
コントロールプレミアムの相場
コントロールプレミアムの相場は、少数株主が保有する株式価格に20%〜40%の範囲内で付加価値を上乗せする傾向がある。 コントロールプレミアムは、会社への影響力による付加価値とされるため、支配の程度に応じて変動する可能性がある。
コントロールプレミアムと買収プレミアムの違い
買収プレミアムとは、買収価格と買収前市場価格(時価総額)との差額をいう。 いずれも、資本などの可視化できる価値以外に対して生じる付加価値だが、価値対象が大きく異なる。 コントロールプレミアムの価値の対象は会社の支配権であるのに対し、買収プレミアムの価値の対象は、取引成立後に初めて顕在化する価値であり、会社の可視化できない資産である。 すなわち、買収プレミアムには、コントロールプレミアム以外に、のれんや自社とのシナジー効果(相乗効果)なども含まれる。
コントロールプレミアムの算定方法
①コスト(アセット)・アプローチ
コスト・アプローチは、企業の純資産の時価評価額等を基準に株主資本価値を算定する評価する手法をいう。 代表的な手法として、簿価純資産法、時価純資産法がある。 簿価純資産法は、資産を簿価で評価する手法であり、時価純資産法は、資産を時価で評価する手法である。
②マーケット・アプローチ
マーケット・アプローチとは、市場において成立した類似企業・株価の価格をもとに企業価値を評価する方法をいう。 代表的な手法として、類似会社比較法(マルチプル法)、市場株価平均法、類似取引比較法の評価手法がある。 類似会社比較法(マルチプル法)は、対象企業に類似した上場企業の評価倍率をもとに、企業価値を評価する手法である。 市場株価平均法は、上場企業の平均株価をもとに企業価値を評価する手法である。 類似取引比較法では、過去のM&AやTOB価格を基礎にした倍率を用いて株式価値を算定する手法である。
③インカム・アプローチ
将来期待される経済的利益を、その利益実現に見込まれるリスク等を考慮した割引率で割引くことにより価値評価を行う手法をいう。 代表的な手法として、DCF法、配当還元法がある。 DCF法は、対象企業が将来生み出すフリーキャッシュフロー(FC)を、現在価値に換算して企業価値を評価する手法である。 配当還元法は、対象企業が将来生み出す収益を現在価値に換算して企業価値を評価する手法である。
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