コベナンツ

(読み方 : コベナンツ)

コベナンツ(covenants)とは、融資の契約を締結する際に、契約書に記入することのできる一定の基準をもつ特約事項のことである。 M&Aの契約においては、契約締結日以降に当事者が行うべき行為や、逆に行ってはならない行為を規定するものである。つまり、今後の行為の約束、または誓約をする条項のことである。 金融業界では、一般に「コベナンツ」といった場合、貸し手が債務者の財務状況に応じて融資を回収する権利を持つ財務制限条項を指すことが多い。 ただし、コベナンツはM&A(企業の買収・合併)契約などにおいても重要な役割を果たし、契約後の行動に制約を設けるものとして使われる。

コベナンツ条項

コベナンツ条項とは、金融機関が企業に対して貸付を行う際に締結するローンの契約上、または社債を発行する際、さらにはM&A契約においても使用される重要な条項である。 この条項では、債務者に対して特定の義務や行動の制約が課される。 例えば、重要事項の事前申請や報告、対象企業の財産の状態に関する調査への協力、財務指標の数値の一定以上、以下の維持などがあげられる。 これにより、借り手が当初の計画から逸脱した資金の使用を防ぎ、大きなリスクを伴う事業運営を行わないように、貸し手が借り手に義務や制限を課すことが目的である。 また、コベナンツ条項は、企業が融資や資金調達を受ける際に、企業の財務健全性を保つための重要な手段として機能する。

コベナンツ条項の内容

自社の経営状態や財務状態については、金融機関が求める情報開示を行う義務を規定している。 開示を求められる情報は以下の通りである。 ・財務諸表 ・会社の財務状況を把握できる資料 ・会社及び関連会社(子会社含む)の資産及び業績に関する報告 ・表明保証違反の事実 ただし、上記以外の情報の開示を求められる可能性はある。

財務制限条項

貸借対照表や損益通算書に記載される財務状況について、特約で規定された基準条件を下回らないようにする義務が生じる。規定される財務指標の例は以下のとおり。また、この条項はコベナンツの中でも最も重要な条項です。 ・純資産額、または自己資本額の維持 ・営業利益や最終利益額の維持 ・有利子負債比率を一定の範囲内に維持 ・経常赤字3期連続回避(減価償却費の計上後) ・総債務月商倍率5倍以内維持 上記の財務状況を約束できない場合は、金利の引き上げや、期限の利益の喪失(期限前の返済要求)が発生する可能性がある。

担保制限条項

金融機関に対する返済を担保する資産等について、契約中に制限を設ける条項であり、以下の3種類に大別することができます。 ・契約期間中の担保提供の全面的な禁止 ・一部の例外を除き第三者への担保提供の禁止 ・他の債権者に対する担保提供を行う場合には当該契約に基づく債権の担保を設定 この条項の目的は、企業の資産を他の債権者の利益に供することを制限し、貸し手の権利を保護することである。 また、担保提供を認める場合でも、契約に基づく債権の優先順位が他の債務に劣後しないようにする。

資産譲渡制限条項

債権に担保を設定しているか否かに関係なく、会社の保有する資産に関して、譲渡制限を設ける条項であり、以下の3種類に大別することができます。 ・持ち続けている資産を譲渡することの禁止 ・債権額の価値を超える資産価値を持つ資産を譲渡することの禁止 ・債権者へ事前の承認を得ること無く売却や処分することの禁止 *これらの禁止事項は金融機関の合意によって用いられるものが変わる。

事業維持条項

企業が経営する事業のうち、主な事業に課される制限が事業維持条項であり、代表される内容は以下のようなものです。 ・事業を継続するために必要な許可を持ち続けること ・法令等を遵守して、事業を行うこと ・主たる事業の内容を変更しないこと ・主たる事業に関連する契約を変更・解除しないこと 当該事業による収益が全体の50%を超えるものについて「主たる事業」と判断します。

コベナンツ条項への違反の場合

コベナンツの違反を確認した金融機関は債務者に対して、一括返済を求めることができる。 しかし、実際には違反後すぐに一括返済を求めることは少なく、金融機関はまず期限の猶予や、コベナンツ条項自体の再交渉を提案し、問題解決に向けた対応を取ることが一般的である。 特に、リストラクチャリングやワークアウト(再編)といった手続きが行われ、現状の改善に向けた交渉が進められる。 金融機関がすぐに期限の利益喪失を適用することは少ない。

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