黄金株
(読み方 : オウゴンカブ)
黄金株とは、株主総会において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要と定められた株式のことをいう(会社法1081項8号)。拒否権付株式とも呼ばれる。 黄金株は,合弁会社やベンチャー企業等において、 ・代表取締役の選定 ・株式または社債の発行 ・重要な財産の処分または譲受け などの一定の事項を拒否権の対象とし、当該事項をある種類株主を構成員とする種類株主総会の決議によって定めることとしたい場合に用いられる。
黄金株のメリット
黄金株には、以下のようなメリットがある。
敵対的買収の防衛策になる
黄金株は、1株だけの保有でも重要な決議を否決できる効力があるため、敵対的買収を防衛する策としても機能する。 そのため、仮に企業が株式を買い進めて敵対的買収を仕掛けてきたとしても、黄金株の効力によって買収を否決することができ、買収から防衛できる。
段階的な事業承継ができる
黄金株を活用することで、事業承継を段階的に進めることができる。 事業承継では、後継者の育成が承継日までにできていないケースが多く、一般的に、後継者の育成には5年〜10年ほどかかるといわれている。 しかし、多くの経営者は、後継者の育成を十分にできないまま、事業承継のタイミングを迎えて閉まっている。そのため、その状態で事業承継をしてしまうと、育成不足により後継者に重要な経営判断を任せることができない。 その際に、先代の経営者が黄金株によって後継者の誤った判断を拒否することで、会社の経営の舵取りが可能になり、段階的に事業承継を進めることができる。
黄金株のデメリット
一方、黄金株には、以下のようなデメリットもある。
拒否権の濫用が経営にマイナスになるおそれがある
黄金株は、事業承継において後継者が重要な経営判断を誤りそうになった際に前任の経営者が拒否権を発動し、抑制することができるが、拒否権の濫用は経営にマイナスとなることもある。 具体的には、後継者が重要な経営判断を下すたびに拒否権を発動していると、実質的な経営権は黄金株の所有者にあることになり、後継者が経営者として育たなかったりする弊害になることもある。
株主が不満を抱く可能性がある
黄金株は強力な権限を持っているため、普通株式を保有しているほかの株主から不満が出る可能性がある。 そのため、黄金株を発行する際は他の株主から不満が出ないよう誰が保有するのかを慎重に判断しなければならない。
相続相手によってトラブルが発生することがある
黄金株の相続者によって、経営に支障が出る可能性がある。 例えば、親族間でトラブルが発生する場合である。 黄金株の相続によるトラブルを防ぐには、事前に定款で相続先を定めておいたり、黄金株を保有している先代経営者が、生前に相続対策を施しておいたりすることが必要である。
事業承継税制を活用できない
黄金株を後継者以外の人物が持っている場合、事業承継税制を利用することができない。 ここで、事業承継税制とは、後継者が相続や贈与によって取得した株式に関して、一定の要件を満たせば相続税や贈与税の納税が猶予または免除される制度のことで、黄金株を前経営者が保有したまま事業承継を行うと事業承継税制が活用できないため、後継者に税負担が重くのしかかることになる。 よって、事業承継税制を活用するには黄金株を廃止するか、後継者に相続するかを選択しなければならない。
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