無議決権株式

(読み方 : ムギケツケンカブシキ)

無議決権株式とは種類株式のひとつで、議決権の与えられていない株式のことを指す。議決権が与えられていない分、配当金や残余財産の分配が普通株式に比べて優遇される。

そもそも種類株式とは

種類株式とは普通株式とは異なる権利を付与して発行される株式のことを指す。

日本では9種類の種類株式があり、無議決権株式はその中のひとつである。2006年5月1日に施行された会社法により非上場企業においても多様な種類株式を発行することが可能となった。

普通株式と無議決権株式の違い

普通株式を保有する株主は、保有する株数に応じて株主総会で議決権を行使することができる。 一方、無議決権株式を保有する株主は議決権を行使することができない。その代わり配当金が高めに設定されていたり、企業が解散した際の残余財産の分配が優先されたりと優遇措置が設けられている。 上場企業においては機関投資家や投資ファンドなど、リターンを重視する投資家向けに組成される。また配当金等の優遇措置の条件については、発行体で自由に設定することができる。

非上場企業における無議決権株式とは

非上場企業では事業承継を円滑に行うために無議決権株式が発行されるケースが多い。 無議決権株式を活用することで、見知らぬ株主や後継者以外の親族が、経営に介入できないよう制限をかけることができる。 例えば社歴の長い企業では、事業承継を重ねるごとに株式が分散する。その場合、遠い親戚や経営に関与しない親族に株式が渡ることになる。万が一彼らが議決権を行使し経営に悪影響を及ぼす意思決定をした場合、事業の継続性が危ぶまれる。 そうしたリスクを回避する策として、経営に関与する人には普通株式を、経営に関与しない人には無議決権株式を相続、贈与するといった手法が選択されている。 さらに、無議決権株式は事業承継時に相続税の圧縮手段としても活用される。 配当金に対する優遇措置を利用して、相続財産の評価額を引き下げることができるため、事業承継をスムーズに進める際の節税策として有効である。

無議決権株式と類似する種類株式

無議決権株式は議決権を行使できない代わりに配当等の条件が高いオプションが付与された株式であるが、類似する種類株式で議決権制限株式というものがある。これは議決権の一部を行使できない株式である。

無議決権株式を保有するメリットとデメリット

無議決権株式は発行体と保有者の双方に価値を提供する。 発行体と保有者のそれぞれにどのようなメリットやデメリットがあるのか、以下で説明をする。

メリット

無議決権株式は議決権がない代わりに普通株式に比べて配当金が高く設定されている。 言い換えれば、経営に関与せずとも高いリターンを得ることができる点がメリットである。また会社が解散となった場合、残った会社の財産の分配を優先的に受けることができる。

デメリット

議決権がないため経営に介入することができない点と、普通株式に比べて流動性が低く換金性に乏しい点がデメリットである。

無議決権株式を発行するメリットとデメリット

メリット

経営者もしくは後継者に経営権を集中させることができる点がメリットである。 また従業員持株会に無議決権株式を渡すことで、相続財産を圧縮することができるため、自社株承継の節税スキームとして活用できる。 また、無議決権株式は、株主に経営権を与えずに財務的リターンを提供する手段としても活用でき、経営権の集中を維持しつつリスクを管理するツールとしても有用である。

デメリット

無議決権株式を発行するにあたり、株主総会での承認が必要となるため、株主構成によっては手間がかかることがある。 同族経営もしくは、経営者がほとんどの自社株を保有している場合であれば比較的容易に発行することが可能であるが、自社株が分散している場合は承認を得ることが大変で容易に発行することが難しくなる。 また無議決権株式は普通株式に比べ配当が高いため、無議決権株式が増えれば増えるほど普通株式の配当は小さくなる。その結果、配当に対する魅力が低下するという理由で投資家からの資金調達が難しくなる。

無議決権株式の発行手続き方法

無議決権株式を発行するためにはまず定款の変更が必要となる。 定款の変更には株主総会の特別決議が必要である。また発行にあたって全株主から同意書を受け入れて、同意を得る必要がある。

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