ININ
(読み方 : インイン)
IN-INとは、日本国内の企業が日本国内の企業を買収するM&Aのことをいう。 国内企業同士のM&Aになるため、業界内バランス、取引上の関係のしがらみ、企業文化の違いなどの調整が必要である。
IN-INとは
IN-IN型のM&Aとは、国内企業同士のM&Aのことを指す。 これに対して、海外企業の関与のあるM&Aを指す言葉として、IN-OUT型、OUT-IN型がある。 IN-OUT型は、日本国内の企業が海外企業を買収するM&Aのことをいう。 OUT-IN型は、海外企業が日本国内の企業を買収するM&Aのことをいう。
IN-IN増加の背景
以前は、M&Aにネガティブなイメージを持つ経営者が多く、IN-OUT型に対してIN-IN型のM&Aの成約件数も多くなかった。 現在は、中小企業の後継者不在問題の解消、経営者の連帯保証の解除、従業員の雇用の確保、地方経済の衰退の防止、企業のさらなる成長のために、IN-IN型のM&Aも戦略的手法として受け入れられるようになっている。 今後も、中小企業の後継者不足は引き続き増加傾向にあることなどから、IN-IN型のM&Aの成約件数も増加していくことが想定される。
IN-INの傾向
件数
2021年の日本国内のM&A件数は、公表されているもので4,280件となっている。 その内訳は、IN-OUT型が625件(14.6%)、OUT-IN型が318件(7.4%)である。 また、日本国内の企業が日本国内の企業を買収するM&Aを指すIN-IN型が3,337件(78.0%)となっている。
金額規模
2021年の日本国内のM&Aの金額規模は、公表されているもので16兆4844億円となっている。 その内訳はIN-OUT型が7兆737億円(43.0%)、OUT-IN型が6兆3237億円(38.3%)、IN-IN型が3兆870億円(18.7%)となっている。 金額規模で見ると、IN-OUT型が全体の43.0%を占めており、IN-IN型と比べても大型の案件が多い傾向がある。
地域別
地域別でIN-INの件数を見ると、東京都と大阪府が1位2位という傾向がある。 また、3位については、神奈川県と愛知県で件数が拮抗している。
IN-INの事例
マツモトキヨシとココカラファイン
2019年8月、当時ドラッグストア業界7位のココカラファインは、同業界5位のマツモトキヨシホールディングス(HD)との経営統合に向けた協議を始めると発表していた。 2021年10月、マツモトキヨシホールディングスとココカラファインは経営統合を行い、マツキヨココカラ&カンパニーが誕生した。 経営統合の背景としては、店舗作業の効率性やプライベートブランド(PB)商品の開発などで大きなシナジー(相乗効果)が見込めることが挙げられている。 この経営統合によって、2社合わせた業界シェアは1位となった。
野村不動産HDと庭のホテル東京
2019年3月、野村不動産株式会社は、「庭のホテル 東京」「東京グリーンホテル後楽園」等を保有する、株式会社隆文堂及び100%子会社でホテル運営会社の株式会社UHMの全株式取得の完了を発表していた。 2022年4月、野村不動産HDは、株式会社UHMの全株式の譲渡による買収を実施した。 これにより、株式会社UHMは、野村不動産HDが2017年に設立した野村不動産ホテルズと合併された。
イオンとキャンドゥ
2021年10月、イオンは株式公開買付(TOB)でキャンドゥの株を取得し、子会社化を目指すと発表していた。 これに対して、キャンドゥ側もイオンによる買収に関して賛同を表明していた。 2021年12月、イオンはキャンドゥへの2回目の株式公開買付(TOB)が終了したと発表し、これに伴い、2022年1月5日付けでキャンドゥはイオンの子会社となった。 M&Aの背景として、イオンとしては、国内外の異なる消費市場で、より広い範囲の需要を獲得しビジネスチャンスを広げる狙いがあった。 また、キャンドゥは、イオン傘下に入ることによって事業運営の効率性を高め、また、国内事業に加えて海外事業を強化して成長を目指すために、流通大手企業の傘下に入る意義は大きいものと考えられる。
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