プロキシーファイト

(読み方 : プロキシーファイト)

プロキシーファイトとは、経営陣と株主間で発生する委任状の争奪戦のことを指す。 株主は議決権を行使できるが、委任状を提出することで代理人をたてることが可能である。 株主総会での決議の可否に関して、どちらでも良いと考える株主から委任状を獲得することで、決議を通しやすく(あるいは拒否)するのである。

プロキシーファイトのメリット

株主のメリット

プロキシーファイトが行われた後は、経営陣としては株主の利益を優先するようになる。 プロキシーファイトは、少なからず経営陣に対する不満があることを示している。 そのため、経営陣は株主からの解任リスクがあると感じ、株主の利益を考慮するようになる。

経営上のメリット

経営陣に何らかの問題がある場合、プロキシーファイトを行うことにより、経営陣や経営方針の変更を促すことができる。 例えば、これまでの経営が順調だったことから、市場が変化しているにも関わらず既存の経営方針を継続してしまう場合は、業績や企業価値の低下を招いてしまう。 そのような場合にプロキシーファイトを実行することで、市場に合致した経営方針に変更することができるため、結果として経営がうまくいく可能性が高まるのである。(必ずしも望ましい経営方針に変更されるとは限らないが)

プロキシーファイトのデメリット

経営上のデメリット

プロキシーファイトは労力や費用がかかるため、企業の財務状況に悪影響を与える可能性がある。 例えば、賛成票を集めるために自身の考えを主張したり、ビジョンを伝えるために資料を作成してプレゼンを行うなどの必要がある。 このような活動には大きなコストがかかるため、プロキシーファイトの結果がどうであれ財務状況が悪化してしまう可能性がある。 また、プロキシーファイトが行われると経営方針が変わる可能性があるが、必ずしも経営に良い影響を与えるとは限らない。 例えば、強いリーダーシップを発揮して業績を向上させた経緯があれば、経営方針が変わると同時に成果がでなくなる可能性がある。

株主のデメリット

プロキシーファイトは、委任状の取り合いに関係のない株主にも大きな影響を与える。 というのも、プロキシーファイトにより株価が大きく変動するためである。 プロキシーファイトで勝つためには、議決権を有する株式を買い集める方法が有効であり、プロキシーファイトが実行されると、経営陣や株主は、株式を買い集め、議決権を集約させる。 また、プロキシーファイトを予想した投資家も、短期投資目的で株式を買い集めるため、株価が上昇するのである。

プロキシーファイトの事例

大塚家具の事例

プロキシーファイトを実施した例としては「大塚家具」があげられる。 創業者である勝久氏とその長女の久美子氏が社長職を奪い合い、プロキシーファイトが生じたのである。

大塚家具の社長選任を巡る争いの経緯

当時、大塚家具の株式は、勝久氏が350万株(18.04%)を保有し、妻の千代子氏と合わせて19.95%を確保していた。 一方、久美子氏は久美子氏を指示する株主と合わせて19.75%の株式を所有しており、株式所有率はほぼ拮抗している状態となっていた。 最終的には久美子氏がその他の株主の指示を受け、社長就任を果たしている。

元社長の勝久氏と現社長の久美子氏の考え方

「社員は子ども」であると考える勝久氏は、会社を自分のものと捉える節があった。 一方の久美子氏は、株式公開をしている以上、いつまでも大塚一族の会社であってはならないと考え、適切なガバナンス体制を実現すべきと主張していた。このような双方の考え方の相違から、プロキシーファイトが発生したと考えられる。

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