相続時精算課税制度
(読み方 : ソウゾクジセイサンカゼイセイド)
相続時精算課税制度とは、60歳を超えた親や祖父母が20歳を超えた子どもや孫に対して贈与するときに選択することができる制度のことをいう。 相続時精算課税制度を使用する場合は、その後の贈与に関しては、合計で2500万円まで贈与税がかからなくなる。 2500万円を超えた場合でも贈与税の税率が20%で課税されていく。 なお、この制度を使うためには事前の手続きが必要である。 また、1度この制度を選択するとそれ以降の贈与のすべてがこの制度の対象になる。
相続時精算課税制度を選択するメリット
2,500万円までの贈与が非課税
相続時精算課税制度を選択するメリットとして1番大きなものは2500万円の大型の控除があることである。 普通の贈与である暦年の場合であれば、年間で110万円までの控除しか受けることができないので、2500万円を非課税で贈与しようと思うと、23年はかかってしまう計算になる。 ただ、相続時精算課税制度を選択すれば1度の贈与で2500万円を非課税で行うことができる。
贈与額が2,500万円を超えても一律20%の課税
相続時精算課税制度を選択すれば、贈与した額が2500万円を超えた場合でも、超えた分に対して贈与税がかかるだけであり、その税率は一律で20%である。 普通の贈与の暦年贈与では2500万円以上の贈与に対しては累進課税により税率が45%〜55%がかされる。
相続時精算課税制度を選択するデメリット
暦年贈与の使用ができなくなる
相続時精算課税制度を使用した場合の1番のデメリットは、その制度を使用した後に一般的な贈与制度である暦年贈与に戻すことが不可能であるということである。 暦年贈与は年間110万円まで控除される制度であり、相続時精算課税制度を使用する暦年贈与の非課税枠が使えなくなるのである。 これらの相続時精算課税制度と暦年贈与のどちらを利用する方が当事者にとって得になるのかはよく考える必要があるだろう。
贈与税の申告が必須
相続時精算課税制度を選択した場合、金額の大小にかかわらず税務署に申告する義務が生じる。 普通の贈与である暦年贈与の場合は控除内であれば申告の義務はない。
登録免許税や不動産取得税の負担の増加
相続時精算課税制度の際に負担が増える税として登録免許税と不動産取得税がある。 不動産を生前に贈与した場合だと、贈与税と相続税と別に不動産取得税や登録免許税がかかる。 一般的な相続では、不動産取得税はかかることはなく登録免許税も0.4%であるが、生前相続の場合は不動産取得税はその固定資産税評価額の3%かかり、登録免除税も2%となり、5倍も増加するのである。
相続時精算課税制度で注意すべきこと
現金を手渡しで贈与しない
現金を手渡しで贈与した場合は、証拠が残らないため銀行振り込みで贈与する必要がある。 証拠がなければ税務署に相続時精算課税制度を否認されてしまい、贈与額に相続税がかかる可能性がある。
定期贈与は不可
定期贈与とは毎年一定額を贈与することが決まっている贈与のことである。 定期贈与と判断された場合、毎年の贈与額が110万円以下であったとしても贈与税がかかる可能性がある。
亡くなる直前の贈与をしない
死亡する3年前以内に故人が相続人に対して贈与をおこなっていたとき、贈与額を相続人の相続財産に含めて相続税を計算する。 そのため相続時精算課税制度の扱いにはならないので、注意する必要がある。
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