PMI

(読み方 : ピーエムアイ)

PMIとはPost Merger Integrationの略で、M&A成立後、買収企業がシナジーを最大限発揮させるために行う経営統合プロセスのことを指す。

PMIの重要性

M&Aは最終契約締結が完了して終わりではない。 譲受企業はM&A成立後、いかに譲渡企業を活かし、企業価値を向上できるかが重要である。 M&Aは異なる文化、組織が一緒になるため管理面や財務面での調整が必要となる。それらの調整がうまくいかなかった場合、M&Aで本来求めていたシナジーを得ることができず、結果的にM&Aは失敗に終わりかねない。 そうした事態を招かぬよう、目標設定からルールの整備まで実行するPMIが極めて重要になる。

統合後に発生する課題

M&Aを行うことは、複数企業が一緒になって事業を行うことである。 そのため役員から従業員まで混乱を招くことなく事業を軌道にのせることが課題となる。統合準備や実行に不備があれば、従業員の離職や業務上のミス、取引先の契約解除を招く可能性がある。PMIはそうした事態を防ぐために行う施策だが、どの部分から優先的に着手するか十分に検討した上で実行することが不可欠である。

PMIの対象となるもの

PMIの対象となるものは企業やM&Aのスキームによって異なる。一例としては以下が対象となる。 ・会計システム ・人事制度 ・企業文化 ・社風 ・経営理念 これらをM&Aクロージング後に目標や具体的なスケジュール、プロジェクトチームを立ち上げPMIを進めることが重要である。

PMIはいつからスタートするべきか

PMIが検討されるタイミングは、具体的にM&Aを進めることを合意する「基本合意」の段階から始める企業が多い。 M&Aによるシナジー効果を最大限に発揮するために、譲渡企業のどの業務プロセスを調整する必要があるのかを検討することから始まる。 その後デューデリジェンスを行い、譲渡企業の課題や調整が必要な点をより明確にし統合計画を策定する。PMIを実施しない企業もあるため、具体的にいつから始めるべきか明確なスケジュールはないものの、統合計画の策定は基本合意から半年以内を目安に実施することが良いとされている。

PMIは具体的にどのように進めるべきか

PMIを実施するにあたり、プロジェクトチームを立ち上げることが推奨される。具体的にはステアリングコミッティ、PMO、分科会を設けて対応する。

ステアリングコミッティ

ステアリングコミッティとはPMIの意思決定を行う組織を指す。PMOが作成したPMIの案や重要な議題の承認を行ったり、PMI全体の進捗状況のモニタリングを行う役割を持つ

PMO

PMO(Project Management Office)は統合の準備や推進を行う事務局のことを指す。PMIの全体像を把握し、統合作業に優先順位をつけて円滑にPMIが実施されるよう旗振りを行う役割を担う。

分科会

分科会とはPMOが作成した統合プランを実施するチームのことを指す。分科会のチームは譲渡企業、譲受企業の双方のメンバーで構成され、統合作業の実務を担う。

PMIのスケジュールイメージ

PMIはスケジュールを組んで実施されるが、よく使われている手法が100日プランである。 M&Aのクロージング後、約3ヵ月で新体制での事業計画を策定することになるが、この約3ヵ月の期間で優先度の高い統合計画の実行を行うこととなる。 100日という期間で、従業員に事業計画や今後の方針を分かりやすく打ち出すことで不安感の醸成の阻止、人材流出の防止をはかることが大切である。

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