筆頭株主
(読み方 : ヒットウカブヌシ)
筆頭株主とは、ある企業の株式総数に対して、議決権のある株式を最も多く所有している株主のことを指す。 筆頭株主は、創業者やその一族、親会社、機関投資家などが該当することが多い。一般的に筆頭株主は経営に関する意思決定に大きな影響を与えるため、上場企業においては筆頭株主の変更があった場合、迅速に開示することを義務付けられている。
株主の分類
大株主株式の保有率が比較的高い株主
主要株主議決権のある株式総数の10%以上を所有する株主
筆頭株主大株主の中で、保有率が最も高い株主。創業者やその一族、親会社などが該当することが多い。
安定株主株式を長期保有する株主。経営者、従業員持株会などが該当する。
浮動株主短期間で株式を売却する株主。短期売買を行うトレーダーなどが該当する。
支配株主株式総数の過半数を保有する株主。
個人株主法人、機関投資家以外の一般的な株主。
法人株主親会社や子会社、金融機関などの法人株主。
機関投資家投資を行ない、キャピタルゲインを得る企業。一般的な法人や信託銀行、投資顧問会社、ベンチャーキャピタルなどが該当する。
外国人株主外国に居住地あるいは拠点を置く株主
株式の種類を知ることの重要性
株式の中には、経営にかかわる意思決定に大きな影響を与えるものもある。 そのため、筆頭株主以外の株主がどのような株式を所有しているのかを把握することは、経営にかかわる課題に対するスムーズな意思決定に繋がる。 このような背景から、自社で発行している株式の種類については把握しておくことは重要である。
株式の種類について
一般的に「株式」と呼ばれているものは「普通株式」のことを指す。 原則として普通株式に与えられている権利は平等であり、普通株式を保有している株主は株主総会での議決権を有することで経営に参加したり、配当を受けたり、株式の所有率に応じた権利を有する。 一方で、普通株式に対して「種類株式」と呼ばれる株式がある。種類株式は普通株式に与えられている権利と内容が異なる株式のことを指す。種類株式は、以下の権利について内容の異なる株式を発行することが可能である。以下の権利のうち、複数の権利を重複して付与したり、複数の権利を制限または剥奪することも可能となる。
剰余金の配当にかかる株式(配当優先株式)
他の株式より権利内容が優先または劣後する株式のことを指す。配当優先株式は、その他の種類株式と組み合わせて使うことが一般的である。 例えば、議決権の無い株式の種類株式は、議決権を行使しない代わりに、普通株式に比べて高い配当金を要求することが可能である。このような場合、議決権の無い株式と配当優先株式が組み合わされて発行されることで、議決権を行使しながらも、高い配当金を得ることができる。
残余財産の分配にかかる株式
他の株式に対して残余財産の分配に関して優先又は劣後させる株式のことを指す。
議決権制限種類株式
株主総会の決議事項について、一部またはそのすべてに対して議決権を行使することができない株式のことを指す。 会社の経営にはそれほど強い関心がなく、配当収入などの利益に関心がある投資家にとっては、議決権はそれほど重要ではない。 そのため、このような株主候補者に向けて議決権制限株式が発行されるのである。議決権制限種類株式は経営権を放棄する代わりに、高配当を要求することが可能なため、配当優先株式と組み合わせて設計されることが多い。また、議決権を制限する事項を設定することも可能である。
譲渡制限種類株式
種類株式の譲渡に際し、会社の承認を必要とする株式のことを指す。
取得請求権付種類株式
株主が当該種類株式に付与された請求権をもとに、会社に取得請求できる株式のことを指す。
取得条項付種類株式
会社が一定の事由を条件として当該種類株式を取得することができる株式のことを指す。 この取得条項付種類株式は、企業側から種類株式の所有者に対して当該種類株式の取得することができるので、当該種類株主の合意の有無に関わらず当該種類株式の所有権を失う場合がある。
全部取得条項付種類株式
株主総会の特別決議により、当該種類株式のすべてを取得することができる株式のことを指す。
拒否権付種類株式
株主総会や取締役会にて行われる決議内容について、当該会合での決議のほかに、種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を必要とする旨の定めが設けられている株式のことを指す。
取締役・監査役の選任にかかる種類株式
当該種類株主総会における取締役・監査役の選任に関する事項について通常の株主総会で規定されている選任に関する事項についての内容とは異なる株式のことを指す。 上場企業ではなく、委員会や第三者機関を設置していない会社において発行することが可能である。
株式保有比率と影響力の関係
筆頭株主が企業の株式をどの程度保有しているかによって、その影響力は異なる。 以下に、代表的な保有比率とその影響を示す。
33.4%以上特別決議事項(合併、会社分割、資本の減少など)に対して拒否権を持つ。この割合を保有することで、重要な意思決定に対して拒否権を行使できるようになる。
50%以上過半数を保有している場合、取締役会での決議をコントロールし、事実上経営権を掌握することができる。
66.7%以上特別決議を単独で通過させることが可能であり、企業全体の意思決定を独占する力を持つ。 このように、筆頭株主の保有比率が高くなるほど、企業の経営や意思決定に対する影響力が強まる。
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