IRR

(読み方 : アイアールアール)

IRRとは、Internal Rate of Returnの略称のこと。日本語では内部収益率と呼ばれる。投資から生み出されるキャッシュフローの正味現在価値(NPV)と投資額が等しくなる割引率のことをいう。投資額に対して、どれだけ効率的にリターンが得られるか、毎年の利回りがいくらになるかということである。投資の収益性を測る一つの指標となっている。

IRRの特徴

IRRは、他の投資指標と異なり、投資の期間を考慮した指標となっている。 例えば、今100万円貰うのと、1年後に100万円貰うのを選べる場合、おそらく多くの人は前者の今貰うことを選択する。 なぜなら、再投資を前提で考えた場合、再投資に回せるキャッシュフローをできるだけ早く得られたほうが、価値が高くなるからである。つまり、現在の100万円と1年後の100万円の価値は等価ではないということである。同じ100万円でも、お金の価値は時間が経過するほど低くなる(割引率)。

将来価値とは

将来価値は、現在保有しているお金について、将来のある時点での価値に計算したものをいう。 例えば、金利が10%であるとすると、現在の100万円は1年後には100万円×(1+0.1)¹=110万円になる。この110万円のことを将来価値という。 将来価値=現在価値×(1+金利)^年数 ※^は乗数を意味する。

現在価値とは

現在価値とは、将来のキャッシュフローの現時点における価値のことをいう。 例えば、金利が10%であるとすると、1年後に得られると見込まれる100万円の現在価値は、100万円÷(1+0.1)¹=909,090円である。 現在価値=将来価値÷(1+金利)^年数 ※^は乗数を意味する。

正味現在価値(NPV)とは

正味現在価値とは、NPV(Net Present Value)とも呼ばれ、将来発生するキャッシュフローの現在価値から投資額を引いたものをいう。 要するに、その投資案件が投資額に対してどの程度の価値を持っているのかを表したものである。 例えば、金利が10%であるとすると、将来のキャッシュフローの現在価値が110万円で、投資額が100万円の場合、正味現在価値は、10万円となる。理論的には、NPV=0ならそのプロジェクトに投資しても利益は出ないということであり、NPVが0より上なら利益が生まれる計算となる。一般的には、NPVが大きいほど収益性が高い投資先だといえる。反対に、NPVがマイナスであれば投資をしないほうがいいと判断できる。

IRRにおける割引率とは

IRRは、投資から生み出されるキャッシュフローの正味現在価値(NPV)と投資額が等しくなる割引率のことをいう。 そのため、上記の正味現在価値の例でいうところの投資の利回りが割引率にあたる。つまり、将来受け取るキャッシュフローを現在価値に計算し直すときに用いた金利10%が割引率となる。

割引率の種類

割引率には、金利以外にもさまざまな種類がある。 例えばM&Aや事業に対する投資では、「株主資本コスト」や「WACC」などの指標を割引率に用いるケースがある。 株主資本コストとは株主が要求する最低限の利益のことであり、WACCとは株主と債権者の双方を考慮した割引率のことを指す。

IRRの計算式

1年目のキャッシュフロー/(1+IRR)+2年目のキャッシュフロー/(1+IRR)²・・・+ n年目のキャッシュフロー/(1+IRR)²n=初期投資額 ※nが投資期間を意味する 例えば、初期投資額100万円で、1年目30万円、2年目40万円、3 年目50万円のキャッシュフローが見込める場合、IRRは、8.9%となる。

IRRのメリット

①投資期間を考慮できる

投資期間が計算式に盛り込まれているため、同じ利益に見えても早期にお金を回収できる方がIRRの値が上がるなど、時間の価値を考慮できるという点にメリットがある。

②不明確な指標の考慮が少ない

IRRを算出するのに必要なのは、初期投資額、投資期間、当該期間のキャッシュ・フローの3つである。 不明確な指標である割引率やコストを考慮しなくてよいというメリットがある。 前述したNPVでは、割引率の設定が必要な一方、IRRでは自動的に求められるため、割引率の影響を受けないためである。

③客観的指標としての価値

不明確な指標を考慮しなくて良いので、計算結果も1つに定まることが多く、客観的指標として利用価値が高いというメリットがある。 異なるプロジェクトの収益性を単純に比較する際に、客観的な基準として利用できる。複数の選択肢の中から最も望ましい投資先の選択を効率的に行うことができる。

④再投資を前提とした収益性の評価

IRRは、得られたキャッシュフローを同じIRRで再投資できるという前提に基づいている。そのため、再投資による複利効果を期待するプロジェクトにおいて、投資全体の効率性をより正確に評価できる。

IRRのデメリット

①投資規模を考慮できない

IRRは、投資期間全体の収益率という概念で計算を行うため、全体の収益額を見逃し、投資規模を考慮できない点がデメリットである。 例えば、IRRが高い小規模な投資プロジェクトよりも、IRRが低くても大きな利益を生む大規模なプロジェクトが存在する場合があり、全体の収益性を見逃すリスクがある。投資判断において、IRRだけに依存するのでは なく、投資規模やNPVなどの他の指標も併せて検討することが重要である。

②計算できないケースがある

一定の投資期間を前提としているため、継続企業を前提とした場合の企業評価や、売却予定のない投資等における回収価値の評価が困難とされる。また、投資期間内にマイナス収益の年があるときなどは、解がでない可能性がある点がデメリットである。

③再投資利回りに不確実性がある

IRRの再投資利回りは、得られたキャッシュフローを同じIRRで再投資できるという前提に基づいているが、現実にはこの前提が成り立たない場合が多い。実際の市場環境や投資先の状況により、再投資の利回りがIRRと一致しないことが多いことを考慮する必要がある。

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