ゴールデンパラシュート
(読み方 : ゴールデンパラシュート)
ゴールデンパラシュートとは敵対的買収の防衛策のひとつである。 買収によって退任に追い込まれる経営陣の退職金の価格を高く設定することを指す。
ゴールデンパラシュートの仕組み
ゴールデンパラシュートとは経営陣の解任の際に、巨額の退職金が発生する雇用契約をあらかじめ結ぶことである。 ゴールデンパラシュートを実行することによって、買収企業が買収後に経営陣の解任を求めた際に巨額の退職金を支払う必要が発生する。その結果、買収コストが必然的に上がり、相手の買収意欲を削ぐことが可能となる。 一般的に、ゴールデンパラシュートを実施する際に設定される役員退職金は、年間の役員報酬の2~3倍と言われている。
ゴールデンパラシュートとティンパラシュートの違い
ゴールデンパラシュートと類似した買収防衛策でティンパラシュートというものがある。 ゴールデンパラシュートは経営陣の退職金を高額に設定する契約を指すが、ティンパラシュートは解雇される従業員に巨額の退職金を設定する契約のことを指す。 経営陣の退職金は株主総会での承認が必要になる一方で、従業員の退職金は取締役会での決議で変更が可能なため防衛策としては利用しやすい。
ゴールデンパラシュートのメリット・デメリット
ゴールデンパラシュートのメリットは敵対的買収を防ぐことである。 敵対的買収を阻止することができれば、会社の文化、従業員の雇用、取引先との関係などを守ることができる。 一方ゴールデンパラシュートのデメリットは実行までが難しく、機動的な施策ではないことである。上記でも記載した通り、役員退職金の変更・決定は株主総会によって決められるが、ゴールデンパラシュートは株主の利益に直結するとは限らず株主の同意を得られる可能性が小さい。そのため日本においては買収防止策としては有効であるものの、実際に防衛策として利用されるケースは極めて少ない。
ゴールデンパラシュートの活用例
ゴールデンパラシュートは株主や従業員に対する印象があまりよくない防衛策である。 株主や従業員からすれば、「会社が乗っ取られたし、経営陣が会社の資金を持ち逃げした」と思われかねない。 そのため巨額の退職金を現金で受け取るといった露骨な方法が採用されるケースは少ない。実際に採用されるゴールデンパラシュートは、一定の条件で行使されるストックオプションの付与等の形式を取ることが多い。
中小企業におけるゴールデンパラシュート
TOBは上場企業で行われるケースがほとんどであるが、非上場の中小企業が対象となるケースも存在する。 非上場企業では野村ホールディングスがオリオンビールに対しTOBを行い成立した事例がある。このように非上場企業においても株主が分散している場合、敵対的買収を含めTOBが実行されるケースは存在する。 そのため場合によっては非上場企業においても買収防衛策を検討する必要があり、株式の一定数を親族やグループ企業で保有している中小企業においてゴールデンパラシュートは有効な防衛策のひとつと言える。
米国におけるゴールデンパラシュート
米国では敵対的買収が多発した背景があり、1980年代から様々な買収防衛策が生まれた。 米国におけるゴールデンパラシュートに対する投資家の考え方は、「株主の利益には繋がらないため反対」との声がある一方、「ゴールデンパラシュートがあることにより最善の方法を選択できるため、株主の利益に繋がる」との声もある。 米国は日本と比較すると成果主義の考えが強く、役員報酬の金額も高い。こうした背景から日本ではほとんど採用されないゴールデンパラシュートが、米国では一定数採用されている。
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