M&A
(読み方 : エムアンドエー)
M&AとはMerger and Acquisitionの略語であり、日本語では企業の合併・買収の総称を指す。 M&Aは広義には株式や事業の移転、分割や提携なども含まれており、事業戦略として幅広く採用されている。
事業承継の選択肢として注目されるM&A
日本の企業の4分の1以上が後継者不在であり、後継者不在問題は慢性的な日本の課題とされている。 これまでは子どもが後継者となり、会社を引き継ぐことが多かったが、近年は「子どもが会社を継ぐ意思がない」や「子どもに苦労をかけたくない」といった理由から親族外の後継者に事業を引き継ぐケースも増えている。 もともとM&Aは「身売り」「ハゲタカ」「敵対的」といったネガティブな印象が強かったものの、近年では事業承継の解決策としてM&Aを実施する事例が増えた結果、経営者の間でM&Aに対するイメージも大きく変わってきている。
日本におけるM&Aの件数
2021年のM&Aの件数は過去最高であった。 2000年のM&Aの件数が1635件に対して、2021年では2.5倍を超える4280件となった。 M&Aの件数が増加した背景は、事業承継や販路拡大の選択肢としてM&Aが選択されている点や、景気が良かった点、M&Aのプラットフォームが普及した点や、金融機関でM&Aの支援が強化されている点が要因として挙げられる。
中小企業におけるM&Aの手法
中小企業でよく採用されるM&Aの手法は大きく3つある。
- 株式譲渡
- 事業全体の譲渡
- 事業の一部を譲渡
株式譲渡
現経営者が保有する自社株を後継者に売却することを指す。 中小企業M&Aにおいて最も選択される手法である。 特徴は株主が現経営者から後継者に変わるのみで基本的に社名や従業員、取引先や金融機関との関係に変化が発生しない。 後継者の注意点は事業内容や決算内容だけでなく、簿外債務や現経営者が現在認識していない偶発的問題等も承継することとなるので、専門家を利用した企業調査のもと慎重に会社を選ぶ必要がある。
事業全体の譲渡
設備や知的財産権、顧客といった事業を運営する上で必要なものを全て売却することを指す。 後継者は簿外債務など予期せぬ負債を承継するリスクを抑えることができる。 特に事業全体の譲渡は個人事業主が次のオーナーに事業を引き継ぐ際に有効な手段とされる。
事業の一部を譲渡
事業全体のうち一部の事業を売却することを指す。 譲渡する事業の資産や負債が選別されるため買い手が見つかりやすいことが特徴である。 譲渡企業は不採算部門を売却し経営のスリム化を図ることや、採算部門を売却し短期的に現金を調達するなど様々な選択が可能となる。
M&Aのメリット・デメリット
M&Aは譲渡企業側、譲受企業側の双方にメリットとデメリットをもたらす。 以下でそれぞれのメリットとデメリットを説明する。
譲渡企業側のM&Aのメリット
譲渡企業側のメリットは後継者問題が解消されることである。 廃業を選択した場合、取引先や従業員、地域に悪い影響を与える。 また廃業する際にコストが発生するため、現経営者の負担が大きくなりその分手残りも少なくなる。 M&Aを選択すれば企業は存続し、取引先や従業員、地域にとって良い影響を与え、現経営者にとっても自社株を現金化することでハッピーリタイアを遂げることが可能となる。
譲渡企業側のM&Aのデメリット
譲渡企業側のデメリットはM&Aが完了するまで時間がかかることである。 事業を引き継ぐ際、取引先や社員の条件など、現経営者の意向に沿った相手を探すことに時間がかかるケースがある。 また相手が見つかったとしても簿外債務や偶発的債務を理由にM&Aがうまく進まないケースもある。 一般的に相手を見つけM&Aが完了するまでには1〜3年の期間を要し、長ければ5年、10年となるケースもある。
譲受企業側のM&Aのメリット
譲受企業側のメリットは事業拡大をスピーディに行うことができる点である。 新規事業を立ち上げる場合、取引先や人材の確保などを1から行う必要があり軌道に乗せるまで時間を要するが、M&Aを選択した場合、取引先や人材、売上、利益などを即時に確保することが可能となる。 事業の多角化や新規参入といった事業戦略を組む上で有効な戦略とされている。
譲受企業側のM&Aのデメリット
譲受企業側のデメリットは買収後に思ったように事業が軌道に乗らないケースがあることである。 例えば従業員の相性が悪い、簿外債務や偶発的債務が発覚する、優秀な人材が流出するなどといった事態が買収後に起こるケースがある。 事業を軌道に乗せるために譲受企業はPMIを実施することが重要である。
M&Aの進め方
M&Aを進める方法は大きく二つある。 ひとつは当事者間で進める方法で、もうひとつが金融機関や専門機関を通じて進める方法である。 専門機関を通して進める場合はまず仲介業者、アドバイザーの選定を行う。選定後に事業評価を行い、専門機関を通して候補先を選定する。 候補先が見つかれば譲渡価格や、経営方針、従業員の処遇等を交渉し、交渉が成立すれば基本合意を締結する。 その後譲受企業が譲渡企業に対しデューデリジェンスを行い、最終契約締結の運びとなる。
"M&A" に関連する用語
M&Aナビはすべての経営に最良の選択を提供します
メールマガジンでは、 新着情報が受け取れます
必要な条件を設定するだけ!
メールマガジン登録