リスクプレミアム
(読み方 : リスクプレミアム)
リスクプレミアムとは、リスクに対して投資家が期待する無リスクの利子率との差である超過収益率のことである。
リスクプレミアムの計算方法
リスクプレミアムは以下の式で定義される。 リスクプレミアム = 不確実な価格変動を伴うリスク資産の期待収益率 - 無リスク金利(国債など) リスクプレミアムは通常正であり、金融商品が持つ不確実な価格変動を受け入れるために必要な平均的収益と見なすことが出来る。 もし、ある金融商品のリスクプレミアムが0または負であれば、多くの投資家はリスクを回避しようとするため、そのような金融商品は購入せず、国債などの安全な資産に投資するようになる。 ある金融商品のリスクプレミアムを計算するに当たって、国債などの無リスク資産の金利はデータから分かるものの、その金融商品の未来に生じる収益率は事前にはわからないため、リスクプレミアムを求めるためには金融商品の期待収益率を何らかのモデルで仮定する必要がある。 リスクプレミアムは、 ・価格変動リスク (株式や債券の価格が経済環境の変化で変動するリスク) ・貸倒リスク (金融商品を発行した企業が倒産して元利金を全て回収できないリスク) ・外国為替リスク (外貨建て資産の価値が外国為替相場の変動によって上下するリスク) ・政治的リスク (テロや戦争、資源価格暴落などの影響で変動するリスク) など、さまざまな要因で変動する。
株主資本コストにおけるリスクプレミアム
まず株主資本コストとは、企業が営業活動を行うにあたって株主からの出資によって調達した資本にかかるコストのことをいう。 ここで、株主は「どのようなリスク」に対して「どのような要求をしているのか」について、説明していく。 株主の負担するリスク(純利益の変動)の内容は、以下の2点によって影響を受ける。 ①営業利益が変動する程度(事業の収益の変動) ②負債の利用度 ここで、特に①を「ビジネスリスク」、②を「財務リスク」といい、株主はこれらの2つのリスクを負担しているといわれる。 より具体的に、これらのリスクを示すと以下のようになる。 ①ビジネスリスク(事業リスク、営業リスク) ビジネスリスクとは、資本構成とは無関係の、事業活動が本来有しているリスク、すなわち、営業利益の変動により生じる、株主に帰属する純利益の変動のことである。 ②財務リスク(ファイナンシャルリスク) 財務リスクとは、負債利用によって株主が追加的に負担するリスク、すなわち、負債利用により生じる、株主に帰属する純利益の変動のことである。 よって、以上に基づいて株主資本コスト(株主の期待収益率)のリスクブレミアムの内容を表すと以下のようになる。 株主資本コスト(株主の期待収益率) = リスクフリーレート + ビジネスリスクプレミアム + 財務リスクプレミアム 株主はビジネスリスクや財務リスクを負い、これに見合うリスクプレミアムを企業に要求してくるので、企業はこれらを株主に支払わなければならない。
負債コストにおけるリスクプレミアム
負債は、貸倒リスクを負っている。 具体的には、業績の悪化や債務の増加等により、債権者が貸倒リスクを認識するようになると、債権者は、その分についてプレミアムを求めるようになるのである。 そこで、負債コスト(債権者の期待収益率)は以下のように表すことができる。 負債コスト(債権者の期待収益率) = リスクフリーレート + 貸倒等のリスクプレミアム ※国債は貸倒等のリスクプレミアム が生じないため、国債の資本コストはリスクフリーレートと一致する。
リスクプレミアムとCAPM(資本資産価格モデル)との関連性
リスクプレミアムは、CAPM(資本資産価格モデル)において重要な役割を果たす。CAPMは、特定の資産の期待リターンを、市場リスクプレミアムとその資産のベータ係数を用いて計算するモデルである。 CAPMの基本的な式は以下の通りである。 期待リターン = 無リスク資産のリターン + ベータ × (市場リスクプレミアム) ここで「市場リスクプレミアム」は、市場全体のリスク資産の期待リターンと無リスク資産のリターンとの差を表す。個別の資産のリスクプレミアムは、ベータ係数を通じてその資産固有のリスクを反映している。ベータ係数が1より大きい資産は、市場全体よりもリスクが高く、それに伴いリターンも高くなることが期待される。 このように、リスクプレミアムはCAPMを通じて資産の期待リターンの計算に直接影響を与え、投資家がリスクとリターンのバランスを評価する際の基準となる。
"リスクプレミアム" に関連する用語
M&Aナビはすべての経営に最良の選択を提供します
メールマガジンでは、 新着情報が受け取れます
必要な条件を設定するだけ!
メールマガジン登録