エグゼキューション
(読み方 : エグゼキューション)
エグゼキューション(Execution)とは、M&Aに関する一連の流れを管理・実行することをいう。 具体的には、売手企業と買手企業の双方がM&Aに合意する段階、買収条件の決定、最終契約書の締結及び決済までの過程を全面的にサポートする業務を指す。 類似の用語としてオリジネーション(Origination)がある。オリジネーションとは、主にM&Aにおける売り手と買い手が交渉を始めるまでの案件組成段階を指す。
エグゼキューションで行われる主な業務
ストラクチャー構築
オリジネーションが終了して交渉の相手が決まった後の始めの工程として挙げられるのが、ストラクチャーの構築である。 M&Aの手法には、様々な手法があるため、達成したい目的に対して適切な手法での戦略構築が必要になる。 具体的には、コストの大きさ、リスクの有無や程度、手続きにかかる手間などの判断軸で取る手法を判断することが一般的である。 M&Aにおける具体的なストラクチャーの選択肢には、株式譲渡・事業譲渡・合併・会社分割・現物出資などがある。
バリュエーション
適切なM&Aの手法が決まった後は、バリュエーション(企業価値算定)を行う。 バリュエーションは、買い手側はもちろん、売り手側も自社の評価を把握しておく必要があるため実施される。 バリュエーションでは、一般的な手法が決まっているため、売り手側と買い手側で手法が大きく異なることはないが、その計算方法により、微妙な違いがあるため注意が必要である。 バリュエーションにおける一般的なアプローチ手法としては、『インカムアプローチ』『マーケットアプローチ』『コストアプローチ』の3種類がある。
基本合意書の締結
バリュエーションが終了後は、相手企業との交渉・基本合意書の締結に進む。 その際に、バリュエーションで参集した価格を用いての買収価格の交渉や大まかな条件などを探す作業となる。その交渉がまとまった後、売り手側と買い手側の双方で基本合意書を作成することが一般的である。基本合意書には、M&Aの手法や買収の条件などが、おおむね合意に至っていることが記載される。 M&Aにおいて必ず必要な書類ではないが、クロージングをスムーズ行うことができるため、作成されることがほとんどであり、『価格に関する条件』『秘密保持契約』『デューデリジェンス資料開示への協力』『独占交渉権の有無』が主に含まれる具体的な内容である。
デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、買い手側から売り手側についての企業調査のことを指す。デューデリジェンスでは各分野の専門家である、弁護士や税理士・公認会計士などが行うことが一般的である。 具体的には、法務デューデリジェンスにて、弁護士に法的なリスクなどの調査、財務・税務デューデリジェンスにて、税理士や公認会計士に将来計画や簿外債務の確認、ビジネスデューデリジェンスにて、コンサルティングファームに買収のシナジー効果などの確認などを依頼することが一般的である。 他にも、人事デューデリジェンスや最近では、システムデューデリジェンスを行うなど、様々なプロフェッショナルに依頼を行うことが一般的である。そのため、全体の把握や進行の遅れなどに注意をしながら行っていく必要がある。
最終契約の締結・クロージング
デューデリジェンスが終了し、最終交渉で合意に至れば、最終契約書を締結する。最終契約書に盛り込まれる主な内容には、M&A手法・価格・秘密保持・表明保証などがある。 最終契約書が完成した後は、クロージングに入る。クロージングでは、契約書で合意された手続きが漏れなく・予定通りに進められているかを注意しながら実施することが重要である。手続きの不備の影響が大きいものであれば、案件がブレイクしてしまうこともある。
エグゼキューションの重要性
ここまでエグゼキューションの具体的な手法について説明をしたが、実際にエグゼキューションを行うことの重要性は何なのかについて説明する。
双方が納得できる条件で合意する
M&Aにより売却された会社は、M&Aの実施後、買収した会社により運営されることとなる。 そのため、買収後のことまでを考え、エグゼキューションの段階で条件などを決めていなければM&A実行後に苦労することになる。
手続きを漏れなく実施する
エグゼキューションは漏れなく実施することが重要である。事後的に条件の漏れや事業のリスクなどが発見されないよう、注意が必要である。 また、エグゼキューションの段階で事後のリスクについても把握しておくことが重要である。
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