EPS

EPSはearnings per shareの略称であり、一株あたりの当期純利益のことを指す。

EPSの意義

EPSは、earnings per shareの略称で、earnings（収益） per （あたり）share（株式）の意味である。 企業が1株当たりでどれくらいの純利益を生み出しているかを示す財務指標で、企業の収益力を判断するのに重要なものである。

EPSの計算式

計算式は下記の通りである。 （計算式）　　EPS=税引後当期純利益/発行済株式総数 この計算式について以下詳しく見ていく。

税引後当期純利益とは

まずは分子の「税引後当期純利益」から見ていく。

定義

税引後当期純利益とは、企業が一会計期間（通常1年間）に生み出した最終的な純利益のことを指す。 具体的には、企業の売上から全ての費用・法人税等を差し引いて残った利益のことをいう。 当期純利益の金額がマイナスとなる場合は、当期純損失や赤字と表現される。

意義

企業の利益を計算する上では主に5つの利益が存在するが、当期純利益は5つの利益を算出する計算の最後にあたる。 当期純利益を算出する前の段階で利益が出ていても、最終的な利益を示すこの段階でマイナスに転換することもある。 そのため、当期純利益として利益が出ているか否かは、企業の収益性を図る指標のひとつとして重要である。

5つの利益の計算方法

①売上総利益

売上総利益とは、損益計算書上の売上高から売上原価を差し引いた金額をいう。 粗利益とも呼ばれ、本業(定款に主たる目的として定めのある事業)で得られた利益を示す。 売上原価は、商品の仕入れや製造にかかった費用・コストのことで、商品が売れた際に計上される原価を意味する。 製造業の場合は、売上原価の代わりに材料費や工員の人件費が製造原価として差し引かれる。 （計算式）　　売上総利益=売上高-売上原価

②営業利益

営業利益とは、損益計算書上の売上総利益から販売費と一般管理費を差し引いた金額をいう。 企業の主たる営業活動(本業の商取引)で稼いだ利益のことで、本業の営業力・収益力を示す。 販売費は、売上原価以外で営業活動に関連して発生するコストを意味する。 具体的には、広告宣伝費、旅費交通費、通信費、接待交際費などが該当する。 一般管理費は、会社を維持するために発生するコストを意味する。 具体的には、給与(役員報酬含む)、水道光熱費、地代家賃、保険料などが該当する。 （計算式）　　営業利益=売上総利益-販売費・一般管理費

③経常利益

経常利益とは、営業利益に本業以外の営業外収益を加算し、営業外費用を差し引いた金額をいう。 事業全体から経常的に得た利益のことで、企業の経営状態や実力を示す。 経常とは、常に一定の状態で続くことを意味し、通常では発生しない一時的な利益や損失については反映されない。 営業外収益は、具体的には受取利息、受取配当金などの利益が該当する。 営業外費用は、具体的には支払利息、社債利息、有価証券売却損などの費用が該当する。 （計算式）　　経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

④税引前当期純利益

税引前当期純利益とは、営業活動とは関連の低く臨時の出来事によって生じた特別利益を経常利益に加算し、その値から臨時の出来事によって生じた特別損失を差し引いた金額をいう。 法人税などの税金を支払う前の利益のことを示す。 企業が1年間で得た全ての純粋な利益という意味合いが強く、課税所得に近いものである。 特別利益は、具体的には不動産の固定資産売却益、長期間保有の株式や証券の売却益などの利益が該当する。 特別損失は、具体的には在庫商品等の評価減、休業による損失、リストラ費用などの費用が該当する。 （計算式）　　税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失

⑤税引後当期純利益

税引後当期純利益とは、上記で説明した通り、企業が一会計期間（通常1年間）に生み出した「最終的な純利益」のことを指す。 税引後当期純利益から法人税等を差し引いた金額をいう。 法人税等は、具体的に法人税、住民税、事業税などの費用が該当する。 （計算式）　　税引後当期純利益=税引前当期純利-法人税等

発行済株式総数とは

次に分母の「発行済株式総数」を見ていく。

定義

会社が発行することをあらかじめ定款に定めている株式数（授権株式数）のうち、会社が既に発行した株式数のことをいう。 自己株式については含まれない。

発行可能株式総数

発行可能株式総数は、会社が発行することをあらかじめ定款に定めている株式数のことで、必ず定款に記載されていなければならない事項である。 授権株式数ともいわれ、登記簿に記載されている。